専門医の医師の求人/募集/転職スペシャルインタビュー >山田 惠美子 氏 / 医療法人社団 金地病院 院長

スペシャルインタビュー
山田惠美子

甲状腺専門病院院長として活躍

山田 惠美子 氏
医療法人社団 金地病院 院長

医師になろうと思ったきっかけを聞かせてください。

父親が医者で、母親は専業主婦という家庭で育ちました。大学受験を控えた高校3年生の時、それまで医学を特別身近に感じたことはなかったのですが、手に職をつけたいという気持ちから、また、父の姿を見ていて医学の勉強に強いやりがいを感じた為、医学部に進学することにしました。当時、女性が医学部に進学するのは今ほど多くなく、両親とも、「女の子が医者になると嫁の貰い手がなくなるんじゃないか」「手に職を持たず普通に主婦をやった方が女性の幸せがある」という考えで、私が医学部に進学することにすごく反対しました。
当時、男女共学の大学に女性は1割ぐらいしかいませんでした。共学といっても、女子トイレは体育館など離れたところにわずかにある程度です。それなら、女子だけの学校に行く方が安心して通える気がしたことや校舎が建て直されたばかりで綺麗だったことから、東京女子医科大学に入学することにしました。

甲状腺を専門にされた理由は?

父親が甲状腺を専門として診療していたからです。父は金地病院の初代院長です。当時、東京女子医科大学に、内分泌内科で日本一と言われる鎮目和夫先生がいらしたこともあり、内分泌内科へ進み、1975年、大学卒業後は東京女子医科大学病院の内分泌内科に入局しました。その後、結婚と2人の子供の出産を経て、1982年から父の病院である金地病院で働き始めました。

1991年から院長をされています。どのような経緯で院長に?

その頃、厚生省の患者の付添い制廃止による看護体制改革があり、病院経営上、問題に
直面していました。かつて、入院患者様には、家族や家政婦協会から付添いをつけても
らい、身の回りの世話は付添いの方が、看護師は医療行為だけをしていました。しかし、
政府の改革推進により、付添い制をやめ、正看護師の数を増やさないと、診療報酬の点
数が低くなり、病院の収入が減るという状況になってきました。父は、以前のままの、
准看護師と付添いという体制を続ければいいと考えていましたが、それでは病院が生き
残れません。そこで、父には理事長になってもらい、私が院長となって、先頭に立って
病院内の改革を始めることにしたのです。

ご主人の山田哲先生は甲状腺癌の名医と評判です。心強いパートナーですね。

結婚当初、主人は脳外科医でした。甲状腺治療というのは、内科、外科、放射線科の3つの科が協力し合って治療をしていますので、主人に病院を手伝ってもらえないかとお願いして、甲状腺外科に引っ張ってきたのです。現在、主人は理事長でもあり、二人三脚で病院を運営しています。主人のことはとても尊敬していますし、助けてもらっているという感謝でいっぱいです。

病院運営のコツは何だと思いますか?

病院の主要な収入は、保険請求です。厚生労働省の施策に則ってさえいけば、きちんと保険請求できますので、国の制度変換に、その都度、柔軟に対応することが重要だと思います。
そして、いかに患者様の為に良い医療を提供できるか、患者様の立場に立った目線を忘れないよう気を配っています。甲状腺の病気と言われると、訳が分からず不安で来る方が多い為、患者様が何を求めてどうしてほしいかということを、常に考えて対応したいと思っています。スタッフにも、そういった目線で親切丁寧な対応をするよう教育しています。父の院長時代からですが、甲状腺病研究所という「検査センター」を病院のそばに持っています。外注で検査を依頼すると結果が遅くなりますので、これも、患者様により良い医療提供をできるようにと注力したことのひとつです。

1週間の平均的な仕事スケジュールを教えて頂けますか?

月曜日から金曜日の9時から17時までと、土曜日の朝8時半から12時まで、ほぼずっと外来診療をしています。1か月で約1500人近い方を診ています。外来診療の後は、入院患者様を診たり、こういったインタビューや執筆など、他の仕事をしています。

診療、病院運営、執筆活動、TV・雑誌への出演と、大変お忙しい先生の原動力は何でしょうか?

父から引き継いだ病院を潰してはならないという想いです。また、職員もそこにいる1人ではなくて、その後ろに家族がいますから、きちんと病院をやっていかなければならない責任があります。専門的なことでは、患者様の為に、甲状腺の病気に関する知識を普及させなければいけないという想いが強いです。色々なことに対する強い責任感が原動力なのかもしれません。
甲状腺の病気は、一般的に20人に1人が持っていると言われ、75人に1人は治療しなくてはいけないと言われているほど、多い病気です。全身に多様な症状があり、自分ではどこが悪いかわかりにくい為、色々な他科を受診し、甲状腺の病気という診断には、なかなか辿り着けません。その為、掛かりつけの病院や検査する機会がある際には、「甲状腺の検査をしてください」と申し出て頂くように、メディアを通じて皆様にお伝えできるようにしております。甲状腺の病気は、診断がつき、治療さえきちんと受ければ、見違えるほど元気になり、仕事、運動、食事、妊娠など、健康な人と同じように何でもできるようになります。

金地病院は「日本甲状腺学会認定専門医施設」「日本内分泌・甲状腺外科学会専門医認定施設」
「日本外科学会外科専門医制度修練施設」になっていますね。専門医制度についてはどのようにお考えですか?

私も専門医ですが、専門医制度は必ずしも良いわけではないと思っています。かつて、大学卒業後は医学博士を取る方が多い時代がありました。今は、医学博士よりも専門医を取る方が多いですが、専門医を取る為には、外来を休んで学会に行かなくてはなりません。学会に行って勉強すること自体はとても良いことですが、専門だけをやっていると、来た患者様を1人の人間として全体で診ることができにくくなります。例えば、「甲状腺しか診ません」ということになりやすいです。リウマチの専門医、甲状腺の専門医、肝臓の専門医、循環器の専門医と、身体はひとつなのに、何か所も通うことになってしまいます。それは、患者様にとっては、あまり親切ではないと思うのです。医師として、内科だったら、内科の全部を大体把握し、手に負えない時は専門機関に紹介するとして、ある程度、総合内科的な掛かりつけ医という役割も大切だと思います。

若いお医者様へ何かメッセージを頂けますか?

山田惠美子

私の2人の娘は医者になり、長女は甲状腺外科、次女は皮膚科に進みました。医療ミスが厳しく追及される時代なので、外科、産婦人科などの選択は敬遠され、長女の外科の医局は、卒業して8年ほど経つのに、後輩がなかなか入って来ません。逆に、皮膚科の先生は、男女問わず、今、とても増えています。「患者の権利」や「言い分」を全面に出し、ちょっとした医療ミスでも訴える時代ですから、厳しい科に入るのを躊躇なさるのでしょう。患者様にとっても、自分に必要な科の医者がいない状況は困るのですから、若いお医者様が興味のある科を幅広く選択でき、腕を振るって医学に貢献できる医療界になっていくと良いなと思っています。

(取材・文:うえだまゆ)
(2011年10月)


山田 惠美子 氏(医療法人社団 金地病院(かなぢびょういん)院長)

プロフィール

  • 1975年 東京女子医科大学卒業
  • 1975年 東京女子医科大学病院内分泌内科入局
  • 1982年 医療法人社団 金地病院 勤務
  • 1991年 医療法人社団 金地病院 院長就任
  • 2004年 当院、日本甲状腺学会 専門医施設に認定
  • 2008年 当院、日本外科学会 専門医制度関連施設に認定
  • 2009年 当院、日本内分泌外科学会 内分泌・甲状腺外科専門医制度施設に認定
  • 日本内科学会認定内科医、日本甲状腺学会専門医

【著書など】

2003年永井書店『よくわかる甲状腺疾患のすべて』「甲状腺細胞の機能と成長因子」
2006年American Thyroid Association,“Thyroid, Iodide Inhibits Vascular Endothelial Growth Factor-A Expression in Cultured Human Thyroid Follicles: A Microarray Search for Effects of Thyrotropin and Iodide on Angiogenesis Factors”
2008年2008年 日本内分泌学会学術総会にて、増田恵子さん(ピンクレディー)とバセドウ病についてランチョンセミナー開催
2009年診断と治療社『甲状腺疾患診療マニュアル』「甲状腺ホルモンと女性医学」
2011年PHP研究所『甲状腺の病気 -バセドウ病・橋本病・その他の甲状腺疾患-
(最新医学がとことんわかる)』監修
テレビ朝日『たけしの健康エンターテイメント!みんなの家庭の医学』
「原因不明の疲れの正体がわかった!女性を疲れさせるホルモン徹底解明スペシャル」(7月12日放送)出演、他多数

「AERA」「Hanako」「婦人画報」「クロワッサン」「暮らしと健康」「美的」他、
甲状腺疾患について掲載多数

『医者がすすめる専門病院』(ライフ企画)、『実力医の履歴書』(ライフ企画)、
『手術数でわかるいい病院』(朝日新聞出版)、『新名医の最新治療』(朝日新聞出版)、
『迷ったときの医者選び』(角川SSコミュニケーションズ)他、紹介掲載多数

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吉田 正史 氏/東埼玉総合病院 消化器内科科長・内視鏡室室長

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武田 淳史 氏/公益財団法人 東京都保健医療公社 豊島病院 眼科医長

ICTが救急医療を変える! 企業家が語る医療の未来
夏井 淳一氏 いわゆる「患者のたらい回し」、緊急度の低い救急出動要請など、なにかとメディアでとりあげられる救急医療。ネガティブな話題も多く問題点も取り沙汰されるが、今、そんな救急医療が変わろうとしている。そこには、現場で働く人々の熱量はもちろん、それを支える重要な役割を担うICTが存在していた。今回は救急医療の現場で導入されはじめている、救急医療管制支援システムe-MATCHを構築した株式会社バーズ・ビュー 代表取締役社長 夏井淳一氏にお話を伺いました。(本文につづく)

夏井 淳一 氏/バーズ・ビュー株式会社 代表取締役社長

現場で見えることだけが医療とは限らない! 視野を広げる重要性
飯島 勝矢氏 各分野で活躍されている医師を訪ねるスペシャルインタビュー。第26回は東京大学 高齢社会総合研究機構 准教授であり、内閣府「一億総活躍国民会議」有識者民間議員の飯島勝矢氏です。
(以下、本文より)医学部の大きな組織におり、病院でも働き、基礎研究や臨床研究を精力的にやって論文も書き、新薬の治験などもしてきた。それはもちろん大切だった。でも、もっと地域や国民一人一人に直接フィードバック出来、最終的には地域に根付くメッセージを構築したいと思いました。(本文につづく)

飯島 勝矢 氏/東京大学 高齢社会総合研究機構准教授

治療も環境も、フルコースを目指して!
堀内 祐紀氏 各分野で活躍されている医師を訪ねるスペシャルインタビュー。第25回は医療法人社団ケイロン 秋葉原スキンクリニック院長 堀内祐紀氏です。
(以下、本文より)人のために時間を費やす仕事なので、自分の権利だけを振りかざすような心持ちでは難しいと思います。人のことを想って動くスタンスは崩してはいけない。人から期待される仕事なので何を期待されているのか常にアンテナを張り巡らせていたい。(本文につづく)

堀内 祐紀 氏/秋葉原スキンクリニック院長

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