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スペシャルインタビュー
煎本正博

遠隔画像診断サービスの地位向上を目指して

煎本 正博 氏

株式会社イリモトメディカル

放射線科専門医として、遠隔画像診断サービスを専門に行うイリモトメディカルを経営する煎本正博氏。
日本トップクラスの精度を保つイリモトメディカルは、現在、多くの機関から厚い信頼を受けている。今回は、煎本氏から事業をはじめたきっかけや今後の目標についてお話を伺った。

新設都立病院への出向でひらめきと自信


煎本氏が遠隔画像診断を行おうと考えたのは今から約30年前、1990年代のことだった。
「その頃、私は順天堂大学の放射線科でIVRを含めた画像診断をしていました。
ただ、病院で勤務しているとどうしても病院内の画像しか読めないですし、治療や診断以外の仕事も出てきますからね。自分の医師としての資源がもったいなく感じていたんですよ。当時はフィルム診断ですから、宅配で自宅に画像を送ってもらった方が効率よく画像も読める気がしましたね。
ちょうどその頃は、セコム株式会社さんがホスピネットという遠隔画像診断支援サービスをはじめたり、株式会社ドクターネットさんが遠隔画像診断のベンチャー企業を立ち上げたりと、少しずつ遠隔読影をはじめる法人も増えてきた頃です。ただ、セコムさんのように大きな資本があるわけではないですし、ベンチャー企業を立ちあげようとまでは考えなかったですね」
遠隔読影の可能性を考えはじめた矢先、煎本氏に転機が訪れる。
「現在、大山にある都立豊島病院(当時)がリニューアルして放射線科を立ち上げるというミッションがあり順天堂大学から出向したんです。ただ、豊島病院に行ったのはいいのですが、お目付役の役人に“放射線科は全然売り上げがない”と言われてしまい……(笑)
こちらからすれば院内レポートしか書いてないので売り上げがなくて当たり前なんですけど、言われてしまったものはしょうがないとなんとかお金を生みだせないか考えたんですよ。
当時は放射線科もオープンしたばかりなのでCTもMRIもピカピカの最新機器があったんです。でも、オープン1年目でベッドも完全稼働してないですし、患者さんもたくさんいるわけではないので最新機器が遊んでいるわけですよね。大学病院ならばMRIが1ヶ月待ちなんてことが当たり前だったので、これを病院の外に開放することでお金を生めないかと思いました。
それで、僕と病院の庶務課長で医師会や開業医に営業したんですよ。患者さんを紹介してくれたらCTを撮ってレポートをつけてお返ししますとお話しました。大病院だったらCTを撮ればレポートもついてくるわけですよね。それと同じことを先生のところの患者さんにも豊島病院で行いますということを説いて回りました。最初、開業医の先生は患者さんが豊島病院にとられないか心配されていたんですが、そういったことは絶対にないと話しました。また、CTに緊急の所見があるときはすぐに連絡し、処置のアドバイスも行いました。レポートに対しての信頼度も上がって、利用者が増え、最終的には外来の売上げが内科の次になったんですよ。くだんのお目付役のお役人からも“先生よくやりました”とお褒めをいただいたのですが、そんなものちっとも嬉しくありませんでした(笑)。それより、患者さんをお引き受けした開業医の先生から、“先生がついていてくれるので、自信を持って診療できるようになった”という言葉をいただいたことは本当に嬉しく、私の自信にもなりました。
こうすれば元々考えていた私の医師資源を有効に活用できると気がつき、遠隔読影をはじめようと独立起業しました」
豊島病院で開業医からの信頼を得た自信をもとに、2001年に個人事業としてイリモトメディカルイメージングを立ち上げることになる。

大切にしているのは精度・スピード・継続性


現在は株式会社イリモトメディカルに名前を変え、年間売り上げも2億8千万円を超える規模の企業となっている。ただ軌道に乗るまではアルバイトなどをしながら読影する日々もあった。また、この独立開業は大学の先生からはあまり歓迎されなかったという。
「はじめは自宅で個人事業として遠隔画像診断をはじめたんです。ただ、最初はどうしても大学の先生などからは裏稼業的な白い目で見られるんですよね。金がほしいならバイトを紹介してやるよと言われたり、医局の命に背いて辞めた裏切りもの扱いされたりもしました。普通の科では開業する時は“十分勉強させていただいたので、そろそろ一本立ちしたいんです”と言うと教授も喜んでくれるんです。でも、放射線科ではいまだに全くそんなことないんですよ。やはり医師は病院で働くべきと思っている方が多いんですね。
そういったこともあり、はじめは仕事もぽつりぽつりあるかなという状態だったんです。ただ、しばらくすると少しずつ大きめの仕事が入って忙しくてなってきたんですよ。それで、小さなオフィスを借りて、ドクター2人に交代で来てもらうようになりました。それが事業をはじめて2年目くらいです」
また当時は画像診断がフィルムからデジタルに移行する時代でもある。その頃、煎本氏にとって更なる転機が訪れた。
「当時はX線フィルムを保管するのがものすごく大変だったんですよ。
医療材料費もかかりますし、置く場所や過去のフィルムを探すための人も必要で大変コストがかかっていました。当時、アルバイトをしていたドッククリニックでもデジタル化を考えていたのですが、フィルムにかかわるコスト削減以外にも、医療としての付加価値を上げることができないかということを相談され、そのシステム開発を依頼されたんです。それで検査が終わった受診者さんのデジタル画像を放射線科専門医が片っ端から読むようなシステムを作りました。フィルムで読むよりも効率が上がりましたね。また、過去比較も簡単にできるようになって、ドックの精度も上がり、オーナーの先生からお褒めをいただきました。実際に数値としての結果が出たので論文にし、講演やプレゼンなども行うようになりました。そこからイリモトメディカルとしても検診の受託も増えましたね。現在の売り上げは検診が9割、CT、MRIが1割です」
その後も人間ドック学会や総合検診学会などにブースを出すなどの努力を重ね、イリモトメディカルの規模は大きくなり、今では国内100近くの施設から遠隔読影の依頼を受けるようになった。
「イリモトメディカルでは、診断の精度・スピード・継続性を行動規範にしています。
診断精度としては、今勤務している医師の半分以上は僕の元同僚など、関わりの深い人物です。私とずっと一緒に仕事をしてきた中で実力がある医師を招いています。また、結果を納品する前にチェックする社内の精度・品質管理システムも整備しました。そのため日本でトップクラスの精度を提供できていると感じています。
スピードは納期を確実に守るということです。医療機関では医師が学会に行ったり、夏休みなどをとったりなどで結果が出るのが遅れてしまうという話を聞きますが、弊社にご依頼いだければそういったことはありません。
最近、検診を得意とされる先生は高齢化が目立ってきています。そうなると診断も不安ですし、いつまで続けていただけるかという不安があります。イリモトメディカルには若い医師もいます。そのため継続性がありますよね。その3つを重要視したことで、信頼感を得るようになり、大きな検診機関からも読んでくれないかという話をいただくようになりました」

最近は経営力向上計画やISMS(ISO/IEC 27001:情報セキュリティマネジメントシステム)などの認証制度取得に取り組み、また、東京商工会議所の”勇気ある経営大賞奨励賞”の受賞など社会的認知も得るようになり、現在では、日本トップクラスの遠隔読影サービスを行う企業として信頼される企業となった。

遠隔画像診断サービスをもっと社会的に認知させるために


煎本 正博氏と弊社・代表 徳武

会社の規模が大きくなったからこそ、今後の経営について考えることも増えた。今後のイリモトメディカルについてもお話を伺った。現在は医療面をサポートしてくれる医師を探しているという。
「僕だっていつまで生きているかわからないですからね。僕がいなくてもこの精度やスピード感を維持する必要があります。
今後は専務の息子をはじめとした若いスタッフがイリモトメディカルを継ぐのですが、彼らは医師ではないので医療の面からサポートしてくれる方をお迎えできればと思います。僕がいなくなっても医療に対して責任をとるメディカルマネージャーになってくれる医師をお招きしたいですね。
検診は医療の中でまだまだ地位が低く、理解されない面も多いです。検診という医療の目的は一人の命を救うことではなく、対象者全体の死亡率を下げ、対象とする企業や自治体、ひいては日本全体の利益を得ることです。そのため少ない時間で、的確な診断を効率よく行うことが求められます。ゴッドハンドとは違って表に取り上げられることは少ないのですが、検診医療は結果的には多くの人を救う重要な仕事です。
そのように検診は他の医療とは違う部分も多いので、ある程度理解があって知識もある先生がいらっしゃれば、是非一緒に働きたいですね」
また遠隔画像診断サービスについての今後についてもお伺いした。
「私たちがこれからやらなければならないのは、遠隔画像診断サービス事業をもっと社会的に認知させることです。日本の遠隔画像診断サービス事業者の約40社が加盟している遠隔画像診断サービス連合会というものがあります。現在はその加盟している社だけで年間約300万件の読影を行っています。結局、日本の勤務医は足りてないんですよ。病院の中での運用が上手くいっていないからこれだけ遠隔画像診断がまわってくるんですよね。
昔は臨床検査は病院の中でやっていたんですね。でも、今は病院の中で職員が試験管を振って検査をすることはまずないんです。原則BMLやSRLなどの臨床検査機関に出しています。また、今はBMLやSRLが病院の中にラボを作る時代に変わってきています。それは、臨床検査機関の専門家が検査し精度管理をした方が、病院独自でやるよりも検査精度が良いからです。また、これらの臨床検査機関は効率よく検査や結果報告ができるシステムも整備し、緊急検査などの多様な臨床のニーズに応えています。
遠隔画像診断サービス事業者の読影報告書は“製品”であり、どの事業者もその納品前の品質管理(精度管理)は必ず行っています。事業者間でアライアンスを組み、読影医を融通しあったり、休日・深夜の読影を行ったりもしています。遠隔画像診断事業者の手法を既存の病院が取り入れた方がきっと医療は良くなると思っているんですよ。今後はそれを証明して行きたいですね。それはイリモトメディカルだけでなく、我々の団体全員で行うことだと思います」
医師として経営者として日本の遠隔画像診断サービスのパイオニアとして未来を背負って立つ煎本氏とイリモトメディカル。今後の発展にも期待したい。

(取材・文/舟崎 泉美)

煎本 正博(株式会社イリモトメディカル)

プロフィール

1974年 順天堂大学医学部卒
国家公務員等共済組合虎の門病院放射線診断学科入職
1984年 同医長
1991年 順天堂大学医学部放射線科講師
1999年 東京都立豊島病院放射線科医長
2001年 現職

医学博士 日本医学放射線学会放射線科診断専門医
日本医師会認定産業医 日本乳がん検診精度管理中央機構認定読影医
日本人間ドック学会認定医
遠隔画像診断サービス連合会 副理事長
鈴鹿医療科学大学 客員教授
日本乳癌検診学会 評議員、研修委員

(株)イリモトメディカル
 所属医師:常勤2名、非常勤17名(女性医師多数活躍)
 職員:10名
 所在地:文京区春日1-11-14(後楽園駅すぐ)、専用読影室完備
  Tel: 03-3814-0478

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吉田 正史 氏/東埼玉総合病院 消化器内科科長・内視鏡室室長

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武田 淳史 氏/公益財団法人 東京都保健医療公社 豊島病院 眼科医長

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夏井 淳一 氏/バーズ・ビュー株式会社 代表取締役社長

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(以下、本文より)医学部の大きな組織におり、病院でも働き、基礎研究や臨床研究を精力的にやって論文も書き、新薬の治験などもしてきた。それはもちろん大切だった。でも、もっと地域や国民一人一人に直接フィードバック出来、最終的には地域に根付くメッセージを構築したいと思いました。(本文につづく)

飯島 勝矢 氏/東京大学 高齢社会総合研究機構准教授

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(以下、本文より)人のために時間を費やす仕事なので、自分の権利だけを振りかざすような心持ちでは難しいと思います。人のことを想って動くスタンスは崩してはいけない。人から期待される仕事なので何を期待されているのか常にアンテナを張り巡らせていたい。(本文につづく)

堀内 祐紀 氏/秋葉原スキンクリニック院長

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