専門医の医師の求人/募集/転職スペシャルインタビュー >池田 直史 氏 さやま腎クリニック院長、埼玉石心会病院腎臓内科部長

スペシャルインタビュー
池田直史

チーム医療は義務!「まとまりある医療」の発展と普及へ

池田 直史 氏

さやま腎クリニック院長、
埼玉石心会病院腎臓内科部長

初めはパート先だったという、埼玉石心会病院の“まとまりある医療”に惹かれたという池田先生。「スタッフのベクトルが同じ方向を向いているというのを肌で感じたんですよね。何か方針が決まると対応も早いんです--」

患者さん主体の地域に密着した、高度な医療を提供することを理念に掲げる石心会グループの中で、さやま腎クリニック院長と埼玉石心会病院腎臓内科部長を兼担する、池田直史氏にお話を伺った。

“心腎連関”の考え方から腎臓内科の道へ

初めは循環器に興味を持ったという池田先生だが、埼玉医大の医局にいた当時、鈴木洋通教授から言われた「腎臓から循環器をみるのもいい」という言葉に興味を持ち、腎臓内科の道へと進んだ。

埼玉石心会病院の腎臓内科では、検尿異常の方から重症患者まで、1日平均30人~40人程度の患者さんが入院しており、その他、急性血液浄化といった依頼を受けてのコンサルテーションも行っている。さやま腎クリニックでは主に透析の患者を診ており、また、クリニックの特徴として先端医療である「在宅透析」を導入している。棲み分けがされている病院とクリニックを、「多い時では1日10往復ぐらい行き来しますよ」と、フットワーク軽く勤務にあたる毎日だ。

HDP向上のため、先端医療である「在宅透析」を推奨

さやま腎クリニックでは「在宅透析」の普及に努めている。

「在宅というと、自宅でもできますよというのがウリだと思われがちですが、そうではないんですね。HDP(ヘモダイアリシスプロダクト=適正透析の指標/時間×回数の2乗)で言うと、適正透析量は70以上とされています。ところが、一般的に日本で行われているのは、4時間×週3回の2乗=36ということになりますから、日本で透析されている患者さんは、透析不足ということになります。それを改善するために、短時間を頻回に透析する方法で保険収載されているのが『在宅血液透析』なんです。我々の施設の場合、3時間×週5回の2乗=75ですから、より適正量の透析を行えていることになります」

主に65歳未満の就労されている方を中心に推奨している。遠隔で患者さん自身が行うにはリスクも懸念されるが、3か月間しっかりとトレーニングを受けていただき、緊急連絡先として24時間技士を待機させ、必ず家族がいる状態で透析を行うなどのルールの下、患者さん、そして推奨する医師にとっても、安心を担保できるシステムが構築されている。

「在宅透析というのは、わざわざ施設に行かなくても済みますよという話ではなく、きちんと透析を行い、なるべく毒素を抜きましょう、その方がお体に良いですよということなんです。日頃から健常時に近い状態にいることが、患者さんの予後の改善にも良いわけですし、在宅透析により毒素がしっかり抜けることは、例えば、血圧の薬やリン吸着の薬、そして腎性貧血の注射が要らなくなるなど、長期的にみると医療費の削減にも繋がりますから、そういった観点からもお奨めです」

快適な環境づくり


透析を担っているため、池田先生のもとを訪れる患者さんとは長い付き合いになる。そこで患者さんにとって居心地の良いクリニックであることは重要だ。

さやま腎クリニックでは、2002年の診療報酬改定で食事加算が撤廃された後も、「食事も治療の一環」という石井理事長の理念のもと、「おいしさをあきらめない」をモットーに、無償で透析食を提供している。「在宅透析をお奨めしてはいますが、クリニックでは食事もできますし、皆さんクリニックでの居心地がいいみたいで(笑)施設長としては嬉しいのですが、医師としては悩みどころですね……」と、嬉しさ交じりの苦笑いを見える池田先生。定期的に患者さんの満足度調査も行っている。

「スタッフには患者さんにとって良い環境をつくり出したいという自覚を持ってやっていただけていますし、もともと石心会という組織がそのような素地を持っていたので、患者さんに寄り添う環境を熟成しやすかったと思います」

また、スタッフにとっては、各科の先生、そして職種間での連携が取れているため、明確なビジョンを持ってやりたい医療があれば、協力が得られやすい環境だという。例えば、技士の間で様々な班が作られ、自分たちで議論を繰り返し、池田先生は最終的な決裁をする。循環器領域で使用されているASV(アダプティブ・サーボ・ベンチレーション/マスク式人工呼吸器)を透析の患者さんに導入するという先駆けの試みも、技士などが加わった班によって成された。

「必ずしも医師主導でやるわけではなく、技士や看護師が肉付けをしたりして、いろんな臨床の研究や先駆的な臨床の工夫へと繋げています」

「若手の先生には、臨床だけに留まらず研究で結果を出したり、医師としてレベルアップしたり、もちろんプライベートの充実も図って欲しいしですね。僕には仕事によってご本人の希望が犠牲にならないように考える責任があると思います」

それぞれの職種による技術や知識を最大限に生かせる土壌を作り、プライベートへの配慮も忘れない。スタッフが快適に就業できれば、それがおのずと患者さんの居心地の良さも生み出していく。

義務としてのチーム医療

池田先生は、他のスタッフに任せられることは任せ、スタッフの成長を促している。それは互いの信頼関係が成り立っているからこそできるものだ。

「なかなか一朝一夕にはそういう雰囲気を作るのは難しいですが、スタッフがそこを重要視してくれているので、僕としても助かっています。自分一人のアイディアでは見えているポイントが限られるので、いろんなスタッフの声を聴くことで想像以上の気づきもあります。もちろんそれぞれ得手不得手もあると思いますし、チームで負担して行った方が仕事もしやすいと思います」

「例えば慢性腎臓病の患者さんを診ていくには、医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、ソーシャルワーカーもいます。その上、透析になった場合には技士も必要です。医師ができることは限られていますから、チーム医療は皆で連携して上手くやって行きましょうというものではなく、お互いをカバーしながら総合的に力を発揮して行きましょうというものなんですね。ですから、チーム医療は達成目標ではなく義務なんです!」


弊社代表・徳武と池田院長

最後に、腎臓内科を目指す若手の医師へのメッセージと、ご自身の展望を伺う。

「腎臓はいろんな内科系の病気と繋がっていますから、腎臓以外のサブスペシャリティーについて、もう一度勉強していただく機会があるといいかなと思います。例えば透析治療になる過程で、いろんな合併症を患っていることもありますから、腎臓だけを見ていればいいということではなく、内科的な内容については網羅できる診療技術を身に付けていただきたい思いがあります。そして若い先生には資格をなるべく最短で取って欲しいですね。“専門医制度は信用”ですから。それに対しての最大限のバックアップはしていきたいと思っています」

「症例も豊富ですし、循環器に力のある病院なので、コラボレートして臨床研究に励んでいきたいですね。やりたい医療をするには人材が必要ですから、しっかりと結果を出して、石心会という素晴らしい病院が全国的にも認知してもらえると嬉しいです。それが優秀な人材を引き寄せる磁石になると思っています」

患者さんに寄り添うチーム医療を実現するため、職種間の連携を大切にし、多角的な視点を集結させる。それは池田先生が当初感じた“まとまりある医療”の体現であり、今やご自身がその先へとベクトルの方向付けを担っている。

(取材・文・安海麻理子)

池田 直史(さやま腎クリニック院長、 埼玉石心会病院腎臓内科部長)

プロフィール

1995年 埼玉医科大学 卒業
1996年5月 埼玉医科大学 内科ローテーション
1998年5月 埼玉医科大学腎臓内科 入局
2000年6月 誠弘会 池袋病院 内科
2001年6月 埼玉社会保険病院 内科
2003年6月 埼玉医科大学腎臓内科 帰室
2005年7月 埼玉医科大学腎臓内科 講師
2008年7月 埼玉医科大学腎臓内科 副診療科長
2010年5月 埼玉石心会病院 腎臓内科部長
2011年5月 さやま腎クリニック 院長

所属学会

臨床研修指導医
日本内科学会認定医
日本内科学会認定総合内科専門医
日本腎臓学会認定専門医
日本透析医学会専門医
日本救急医学会ICLSコースディレクター
医学博士(埼玉医科大学)
日本医師会認定産業医
身体障害者指定医

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武田 淳史 氏/公益財団法人 東京都保健医療公社 豊島病院 眼科医長

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