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医療保険制度改革 10月の消費増税を経て最終章へ

[2019.6.12]

 11日、政府の経済財政諮問会議は「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針2019)」の原案をとりまとめた。原案には、消費増税の10月実施を明記。少子高齢化と労働生産性人口の減少が重くのしかかる2040年を見据え、医療提供体制の効率化、生産性向上に着手する道筋を示した。

国の関与も含めた地域医療構想の着実な実施に加え、人生100年時代が到来するなかで、生活習慣病の重症化や認知症を防ぎ、「2040年までに健康寿命を男女ともに3歳延伸し、75歳以上とすること」などを盛り込んだ。

地域包括ケアシステムのなかでかかりつけ薬剤師としての職能を求められるなかで、20年度調剤報酬改定については、「対物業務から対人業務への構造的な転換の推進」のための適正化や、調剤料の見直しにも踏み込んだ。ただ、「給付と負担の在り方」については20年度の骨太方針に明記するにとどめ、痛みを伴う改革は先送った。

 2011年に閣議決定された社会保障・税一体改革に沿って断行されてきた医療保険制度改革が、10月の消費増税を経て最終章を迎える。骨太方針2019では、「人生100年時代に対応した全世代型の社会保障制度を構築し、世界に冠たる国民皆保険・皆年金の維持、そして次世代への継承を目指す」ことを明記した。


 急ピッチでの改革を求めるのが、医療提供体制の改革。急性期病床をはじめ、地域の医療需要に基づいた必要病床との開きも指摘されるなかで、診療実績データの見える可を通じ、公立・公的医療機関に、地域医療構想に沿った医療機能の再編、病床機能の適正化に向けた決断を迫った。「重点対象区域の設定を通じて国による助言や集中的な支援を行う」とともに、適切な方針を示して19年度中の対応の見直しを求めた。地域医療構想調整会議での議論を通じ、民間医療機関の再編も促す。

実効性を高めるために、20年度に都道府県知事の在り方について検討し、「できる限り早期に所要の措置を講ずる」ことも盛り込んだ。データを通じた成果検証を行い、「消費税財源を活用した病床のダウンサイジング支援の追加的方策」を講ずることも盛り込んだ。急性期の医療提供体制も重視されるなかで、救急医療のデータ連携体制の構築など環境整備に取り組む方針も盛り込んだ。

 医師の偏在なども指摘されるなかで、人口減少が医療従事者にも重くのしかかる。骨太方針2019では、医療従事者の生産性向上の必要性を明記。そのための環境整備を進めることも明記した。

ロボットやAI(人工知能)、ICTの活用を通じたデータヘルス改革、他職種へのタスク・シフティングなどを通じて、「2040年度における医療・福祉分分野の単位時間サービス提供料の5%以上向上、医師については7%以上向上」することを盛り込んだ。電子カルテの標準化を進めるほか、「オンラインでの服薬指導を含めた医療の充実を進める」ことも盛り込んだ。オンライン服薬指導については、実施の際の適切なルール設定も求めた。
その一方で、地域包括ケアシステム構築へと動くなかで、服薬情報を一元的に管理するかかりつけ薬剤師の重要性も高まっている。20年度調剤報酬改定では、「地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価や、対物業務から対人業務への構造的な転換の推進やこれに伴う所要の適正化」を検討。これまで調剤に偏っていた調剤報酬の体系見直しを断行することも明記した。また、調剤のオートメーション化も進むなかで、調剤料などの技術料の引下げを含めた検討することも示した。

 健康寿命の延伸にも取り組み、糖尿病などの生活習慣病や慢性腎臓病の予防を推進する。糖尿病予防については埼玉県の事例をあげ、県、国民健康保険団体連合会、医師会が連携して進めるモデルを全国展開することなどをあげた。特定健診・保健指導も地域医師会などと連携し、実効性を高めることを求めた。23年度までに特定健診70%、特定保健指導45%を達成する具体的目標も盛り込んだ。これにあわせて保険者機能も強化する。健診情報やレセプトデータを解析、活用し、多剤・重複投薬の是正や糖尿病の重症化予防に取り組む保険者を重点的に評価。ベンチマークさせることで、保険者の取り組むインセンティブを強化する。

医薬品関連については、高齢者の多剤投与対策に加え、「生活習慣病治療薬の費用面も含めた適正な処方の在り方」としてフォーミュラリも、「引き続き検討する」ことが盛り込まれた。

薬価制度関連では、

費用対効果評価の迅速で効率的な実施に向けた見直し、実施範囲・規模の拡大

新薬創出等加算対象品目を比較薬とする場合の薬価算定の見直し

効能追加などによる革新性・有用性の評価の是非

長期収載品の段階的引下げ開始までの期間の在り方

21年度における薬価改定の具体的な対象範囲の20年中の設定

などについて、「着実に改革を推進する」ことを盛り込んだ。20年9月に迫る後発品80%目標達成に向けて、「インセンティブ強化も含めて引き続き取り組む」とした。2016年に4大臣合意された「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」に掲げられた「医薬品産業を高い創薬力を持つ産業構造に転換する」ことを着実に推し進める。


 改革に取り組む一方で、製薬業界の要望してきたがんゲノム情報の国内での集積についての整備に取り組むことも盛り込んだ。10万例の全ゲノム解析を実施した英国を引き合いに数値目標や人材育成・体制整備を含めた実行計画を19年度中に策定することも盛り込んだ。また認知症予防については“共生社会”を基盤とし、認知症施策推進大綱に基づいて、予防日刊するエビデンスの収集・普及、研究開発を進めることも盛り込んだ。このほか、6月末に大阪で開かれるG20を前に、UHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)の達成を盛り込み、日本が主導的な立場で、各国の共通理解を取りまとめる決意も示した。アジアやアフリカへ「我が国のヘルスケア産業の海外展開を推進する」としている。

 


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