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再発の恐怖 アプリ用いた心理療法で乳がん患者の恐怖感を軽減
[2023.6.12]
がん患者が抱える最も多い悩みとされるのが、「再発したらどうしよう」という不安。名古屋市立大学大学院精神・認知・行動医学分野(名古屋市)の明智龍男教授らは、スマートフォンアプリを用いた乳がん患者を対象にした心理療法で、再発恐怖(がん患者の再発に対する恐怖感)を軽減できることを明らかにした。
乳がんは、手術後の予後が概して良好だが、5年経過しても再発することがある。再発すると完治が難しくなるため、再発恐怖にさいなまれる人が多く、生活の質を大きく低下させることが指摘されている。
「以前の調査で、乳がんの患者さんの63%が再発恐怖に対する治療を望んでいることが分かりましたが、有効な薬はありません」。考え方や行動のパターンを広げることで心理的な苦痛を軽くする認知行動療法が期待されるが、専門の医療従事者が不足しているという。
そこで明智教授らは、再発恐怖はあるが仕事や育児のために忙しい患者の事情を考慮し、通院せずに利用できる、スマホアプリによる認知行動療法を考案。
アプリは、日常生活の困りごとの解決に導く「解決アプリ」と、認知行動療法の「行動が変われば気分も変わる」という考え方に基づき、喜びや達成感のある活動を提案する「元気アプリ」の2種類。
明智教授らは今回、術後1年以上経過し、再発していない20~49歳の乳がん患者447人(平均年齢45歳、約半数がフルタイム勤務)に有効性を検討する臨床試験を行い、アプリ使用グループと使用しないグループに分け、再発恐怖の強さの推移を調べた。
その結果、「アプリ使用グループでは、4週後に再発恐怖のスコアが使用開始時に比べて低下し、その効果は8週後、24週後も維持された。使用しないグループと比べ、明らかな差が認められた」という結果になった。アプリはまだ一般的に使用できないが「今後、乳がんに限らず、さまざまながん患者さんの再発恐怖に対する心理療法として利用できるようにしたい」と話す。
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