専門医の医師の求人/募集/転職スペシャルインタビュー >原田 智浩 氏 / 若葉ファミリー常盤平駅前内科クリニック院長

スペシャルインタビュー
原田智浩

「漢方内科」の標榜で、
東西の医学を両立する医療を実践

原田 智浩 氏
若葉ファミリー 常盤平駅前内科クリニック院長

外科から内科へと転科

学生時代、内科・外科のどちらにも興味があり、自分の選択肢としてどちらの科を選ぶべきかかなり迷った末、華やかな手技に憧れ外科を選択しました。研修医として、手術を通して術後管理や処置を学び、研鑽を積んでいたのですが、半年ほど経ったとき、外科と内科の性質の違いに気が付きました。つまり外科医は、目前にある明らかな病変に対して治療を組み立てる一方で、目に見えにくい変化に対しては必ずしも興味を持たない傾向がある。ところが、内科医は、体内で生じた目には見えない変化に対しても考えることによって治療を組み立てる。外科医的医療と内科医的医療とでは、病態や治療法が変化していく場合には対応に違いが出ると感じました。

現場では、どのような症状の患者さんと出会っても自分で診断をして治療を決断しなくてはらないため、幅広い思考のうえに医療を実践したいと思っていたこともあり、外科研修修了後の卒後3年目から、トレーニングの場として内科への転科を決めました。

循環器専門医から、総合内科専門医、漢方専門医に

東大では新卒医師たちと一緒に内科研修医として病棟を飛び回り、一般内科研修修了後は、循環器専門医を目指して、東京女子医科大学日本心臓血圧研究所(現・心臓病センター)や榊原記念病院など、厳しい環境で専門研修を行います。東大に戻ってからは、循環器専門医として、また内科指導医として、病棟・外来・救急業務、後輩医師の指導、大学院での研究も行っていましたが、患者さんの治療に携わる現場で、まだまだ解決できない症状のあることに気がつきます。それらは専門科目の周辺他科領域まで輪を広げるように幅広く勉強しても解決できませんでした。

そのときにふと思いついたのが、この隙間を埋めるのは東洋医学かもしれない、という考えです。学生時代、東洋医学のセミナーを受講していた経験と、日本の漢方診療所として最も古く伝統のある金匱会診療所(東京都八重洲)の山田享弘先生に師事させていただけた機会から、これまで解決できなかった患者さんのあいまいな訴え
に対しても、対応できる糸口をいただくことができました。

問題は、自分が周辺他科まで学び、徐々に疾患を総合的に捉えるようになっ
ても、専門領域が明確に区切られている大学病院では、その実践は難しいと
いうことです。アメリカでの研究留学や、大学病院で勤務医を続ける道など
いくつかの選択肢で迷いましたが、最終的に私は開業医の道を選びました。
広くいろいろなことに精通している総合医の方が、自分の性に合っていると
思ったことがその理由です。結局それが、外科から内科へ、循環器専門医か
ら総合内科専門医、漢方専門医へと進んだ経緯につながり、それらを生かす
ための開業に至ったのだと思います。

こだわった、開業の場所選びと標榜科目

開業を決めてから実際にクリニックを開設するまで、約5年をかけています。開業場所の選択、開業の形態がクリニックの成功の鍵となると思ったため、納得いくまで模索したいと思いました。自らファイナンシャルプランナーの資格を取得し、土地や物件選びの基本を学びながら50件以上の物件を見学し、さまざまな形態(戸建医院、ビルテナント、医療モール、レントクリニック、医院継承)を想定し、目が肥えた頃に出会ったのが、多くの人が駅との往復に使う道沿いにある現在の場所での、現在の開業形態(医療モールテナント)でした。

もう一つのこだわりが、「漢方内科」の標榜です。実は、開業2ヵ月前の2008年4月に、「漢方」の標榜が認められました。明治時代に西洋医学が入ってきた際、医学としては排斥されてしまった漢方が復権を果たした時期だったのです。それまでも、漢方の治療を地域でされてきた先生は多くいらっしゃいますが、よいタイミングで標榜科目として掲げることができたのは、幸運だったと思っています。

開業してみると、漢方への期待は想像以上に高いものでした。ただ、当院では、標準的な西洋医学を基礎に、応えきれない愁訴を漢方医学で補う形、すなわち「西洋医学を十分反映させながら、東洋医学を生かす」医療を心がけています。疾患・病名に対して薬を処方する西洋医学と異なり、東洋医学では患者さんの体質を見極めることが必要です。これら全く異質に発展してきた2つの医学を同時に実践することは、いわばバイリンガルとしてものを考えるようなもので、診療の際にはかなり神経を使います。

T字型の知識を持ち、バランスのよい診療を

原田智浩

勤務医から開業医となり、仕事の中身は大きく変化しました。限られた疾患のみを診ていた大学病院時代と異なり、幅広い悩みを持つ患者さんが訪れます。「内科(糖尿病、循環器、呼吸器、消化器)・漢方内科」を標榜しているものの、心療内科、小児科、皮膚科の患者さんも日常的に診察するようになりました。患者さんと向き合うとき、少なくとも今この訴えを聞いているのは自分しかいないと考えると、受け皿をできるだけ大きくしておく必要性を強く感じます。

専門医の資格は、大学病院や総合病院のような専門性を強く求められる場では取得することに意味があり、医療者として自分が何者であるかを伝える点でも大切となります。しかし、将来開業を考えるのであれば、複数の専門医資格を漠然と有していても、患者さんには受け入れられないのかもしれません。むしろ一本の高い専門性を幹に、幅広い知識を枝葉として横に広げるように学び、T字型の知識を持つことが大切ではないかと思います。

さらに、患者さんとのコミュニケーション能力を高めておくことも大切です。特に年配の方との会話は、自分が人間的に成長していないと難しいものです。教科書的にはこうすべきだという「押し」の医療以外にも、ときには、患者さんの背景や希望を知ったうえであえて何もしない「引き」の医療を選ぶべき状況も出てくるでしょう。日頃から意識し、どう身につけられるか、どう提供できるかを考えておくことが求められるのです。

(聞き手・岡 晶子)


原田 智浩 氏(若葉ファミリー 常盤平駅前内科クリニック院長)

プロフィール

  • 1995年 日本医科大学医学部医学科卒
  • 1995年 日本医科大学第一病院外科研修医〔町立八丈病院外科、日本鰹鮪漁業協同組合連合会補給船 船医(ホノルルーパナマ) 、日本医科大学付属病院 高度救命救急センター 、日本医科大学第一病院内視鏡科〕
  • 1997年 東京大学医学部第三内科研修医
  • 1997年 東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所(現・心臓病センター)循環器内科研究生
  • 1998年 東京大学医学部循環器内科入局
  • 1998年 榊原記念病院循環器専門研修医
  • 2000年 東京大学医学部大学院内科学専攻博士課程入学
  • 2004年 東京大学医学部大学院卒業、医学博士
  • 東京大学医学部附属病院循環器内科医員
  • 2005年 東京大学医学部附属病院循環器内科助教、東京大学医学部附属病院指導医
  • 2008年 若葉ファミリー 常盤平駅前内科クリニック開設
  • 日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本東洋医学会認定漢方専門医、日本医師会認定産業医

〈漢方医学〉

  • 金匱会診療所 (東京都八重洲) にて専門研修
  • 山田享弘先生(金匱会診療所所長、日本東洋医学会認定漢方専門医)に師事
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