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病気予防「リスクが低くても効果が高い人」を絞り込んで

[2023.4.11]

 発症リスクが高い人たちだけでなく、リスクが低くても効果が高い人を絞り込んで、病気予防することはできないか。京都大とスタンフォード大、カリフォルニア大ロサンゼルス校の日米の合同研究チームが、人工知能(AI)を活用した次世代の個別化医療戦略を提唱している。

 

 

 いまの個別化医療は、個人の生活習慣の情報や遺伝子検査などの医療データをもとに病気になるリスクを計算し、リスクが高い人たちに絞り医療を提供している。その一方で、得られる「効果」は見落とされがちだという。

 リスクが高い人への対応が真に効果的かどうかは、必ずしも科学的な証拠が明らかではない。

例えば、心筋梗塞(こうそく)、狭心症などの心血管疾患は、高血圧や喫煙がリスク因子だが、個人でみると、血圧が高くてたばこを吸う人に降圧剤を飲んでもらっても、心血管疾患のリスクが下がらない場合がある。逆に高血圧ではなくたばこを吸わない人でも、あらかじめ対策をすることで、リスクを下げられる人たちがいることもわかっている。

 そこでチームの井上浩輔・京大特定准教授(社会疫学)たちは、リスクが高い人ではなく、対策の効果が大きそうな人たちを割り出すことができないかと着想。厳しく血圧を管理することで、どのくらい心血管疾患を予防できるか調べ、二つの質が高い大規模臨床試験のデータを、スタンフォード大のスーザン・エイシー教授が開発に取り組むAIのアルゴリズムで解析した。

 

 具体的には、計1万人以上について、喫煙や体格指数(BMI)、血圧、コレステロール値といった健康に直接関係するものに加え、人種や学歴、一人暮らしかどうかなどの生活形態、医療保険に入っているかなど個人の社会的な背景も含めた計18項目のデータを、AIに機械学習させた。その上で、従来の病気のリスクの高さをみる手法に比べ、AIを使って対策の効果が大きい人を絞り込む手法が、実際に有効かを調べた。

 その結果、心血管疾患のリスクの低い人たちでも厳格な血圧管理で予防効果が認められる場合を確認できた。

 AIを使わない従来の手法では、1人の心血管疾患の発症を予防するのに45~61人に対応する必要があったが、AIによる手法では11人で1人を予防でき、4~6倍も効率がよかったという。リスクは高いが対策の効果が低いと推定された人たちには、別の治療方法を検討する必要があるとしている。

 井上さんは「リスクの高い人が必ずしも医療提供による恩恵を受けられるとは限らない。AIを使った新しいアプローチは、本来医療提供を受けるべき個人を最も効率的に選べて、限られた医療資源で効果を最大化する可能性を秘めている」と話す。

 

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