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医療機器不足 先天性の心臓病の小児ら手術待機が60人超

[2026.5.7]

 先天性の心臓病治療で、血管を広げるための医療機器「ステント」が使えない状態が3年前から続いており、国内に少なくとも小児ら60人の待機患者がいることが、日本医療研究開発機構の研究班の推計で明らかになった。日常生活に支障がある場合には、体への負担が大きい開胸手術を選ばざるを得ないケースもあるとみられる。

 先天性の心臓病のうち、大動脈や肺動脈などの血管が狭くなることで息苦しさなどを訴え、治療が必要な患者は500人に1人程とされる。乳幼児期には、開胸して血管を広げる手術が推奨されている。

 

 しかし、一定数の患者は成長に伴って再び血管が狭くなるため、金属製の網が直径数センチほどの筒状になったステントと呼ばれる医療機器を、カテーテルで血管内に入れて広げる治療が必要になる。

 小児に使うステントを巡っては、長らく大人の足の血管用を流用してきたが、2023年7月に販売停止が公表された。採算が合わないことが主な原因とされる。現在、別のステントの承認申請手続きが進むが、使えるようになる時期のめどは立っていない。

 

 全国で小児の心臓の手術を実施する医療機関の患者データを研究班が解析。先天性の心臓病のうち、心臓そのものに問題があって移植を待つ患者を除き、血管に問題を抱える患者の乳幼児期の手術歴や検査結果などを調べた。すると、10代を中心に全国で少なくとも60人の患者がステント治療を待っていると推計された。日常生活は送れるものの、運動など一部の生活に制限をしているという。

 安静時にも息苦しくなってしまい、待機が難しい場合には、開胸手術や、風船を血管内に入れて一時的に拡張する治療をせざるを得ない。研究班は「乳幼児の時にも手術をしているケースが多く、複数回の手術は体への負担があり、合併症のリスクや、長期の入院と自宅療養で社会生活から離れる不利益も大きい。風船での治療は効果が長続きしないことが多い」と指摘する。

 

小児の希少疾患に使われる医療機器は、年間の販売数が限られることから企業が製造開発から撤退することがあり、治療の選択肢の維持が課題になっている。心臓治療に限っても、ステント以外に、血管を塞ぐ一部のコイルや風船などが使用できない状況だ。

 研究班のメンバーの藤井隆成・昭和医科大教授(小児循環器内科学)は「治療の機器がそろわず、危機的な状況と言える。国際標準の治療が日本で提供できないのは非常にもどかしい。小児治療が市場原理に左右される状況は看過できない」と強調する。

 

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