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専攻医募集 総合診療選んだ専攻医わずかの理由とは?

[2018.1.16]

 4月の新専門医制度のスタートに向けた専攻医の1次募集が昨年11月15日に締め切られた。12月16日には日本専門医機構が、専攻医登録をした約7800人のうち総合診療領域のプログラムを選んだ専攻医は153人であったことを発表。さらに、11県で専攻医の応募が1人もいなかったことも明らかにした。

 専門医制度における総合診療領域の新設は、今後各地域で増える複数疾患を抱えた高齢者に対応する必要性から、長年の議論を経て準備が進められてきた。地域の医療や介護、保健などの分野でリーダーシップを発揮しつつ、在宅医療や緩和ケア、高齢者ケアなどを包括的に提供することが期待され、新専門医制度の目玉として注目されていた。その注目度と制度創設までの経緯を考えれば、総合診療領域が専攻医の募集で「惨敗」したのは明らかだ。


 新専門医制度は、学会や病院団体などで構成する「中立的な第三者機関」の機構が、専門医の認定と養成プログラムの評価・認定を統一的に行う仕組みだ。機構が関連学会の協力の下で、認定・更新基準、養成のための研修プログラム、研修施設の基準の骨子となる「整備指針」を診療科ごとに作成。この整備指針に基づき、各研修施設は研修プログラムを作る。それを適切なキャリアパスを築ける内容か、診療科間や地域で偏在が助長されないかなどの観点から関連学会と自治体、機構が確認・調整をして認定することで、専門医研修の質を担保する仕組みだ。

 だが、総合診療領域だけは関係学会の協力を得る形ではなく、認定・更新基準、養成プログラムの基準の策定から研修プログラムの認定、専攻医の募集、定員数の調整の全てを機構が行うことになっていた。総合診療専門医の医師像や研修要件、研修体制などを固める過程で、関連学会と日本医師会などの間に意見の相違が見られ、その調整には第三者機関である機構が当たるのが適切とされたためだ。

 議論の過程で日本プライマリ・ケア連合学会は「学術的に高いレベルを目指すべき」「地域のニーズに合わせた診療を行えるよう大都市部での研修も重要」と主張。一方、日本医師会は「今、活躍しているかかりつけ医が、総合診療専門医の姿。主に一般内科を中核として、基本的なレベルの医療を行う医師」と総合診療専門医を定義して「総合診療は僻地・過疎地域など多科にわたる診療をしなければならない場所での診療が想定されている診療科」と述べていた。その他、専攻医の流出などを懸念する関連学会なども様々な意見・要望を主張していた。

 しかし、機構が全ての行程を担うことで、逆に問題が生じてしまった。昨年9月に機構が公表した総合診療専門研修プログラムの審査基準と1次審査結果を見て、研修プログラムの審査プロセスを問題視した複数の医療関係団体が、機構に対して反発する要望書や意見書を相次いで公表したのだ。

 研修プログラムの募集時には「優先する」としか記載されていなかった要件「半年以上の僻地・過疎地域、離島、被災地、医療資源の乏しい地域での研修」が、審査結果とともに示された審査基準では、実質的な必須要件になっており、それを組み込んでいなかった研修プログラムはこぞって不合格となった。この審査基準の変更はプログラム募集時には示されておらず、さらには不合格となった研修プログラムの責任者に判定理由の説明が行われなかったため、研修施設からの不信感は審査結果が発表された後にも一層募ることとなった。

 全日本民主医療機関連合会は9月27日、機構理事長の吉村博邦氏宛てに「総合診療領域のプログラム1次審査の結果をうけての意見と緊急要望」を提出。10月3日には四病院団体協議会もプログラム認定のプロセスが公正さに欠けるとする意見書を提出し、審査に関する疑義への説明を求めが、公の場でこれらの疑義に対する日本専門医機構からの返答はされていない。

研修プログラムを申請した医療機関の担当者らも、「文書やメールで説明を求めたがその返答は得られなかった」と口々に不満を訴えているという。

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