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血液製剤 50年ぶりに輸出解禁

[2017.11.14]

 献血から製造される血液製剤について、厚生労働省は国内メーカーが輸出・販売するのを解禁する方針を固めた。血液製剤は1960年代に本格化したベトナム戦争で、負傷者の治療に使われたとする疑惑が国会で追及され、66年から輸出が禁じられていた。来年度に、余剰分に限り輸出を認める省令改正を目指しており、約50年ぶりの政策転換になる。

     海外の医療への貢献のほか、国内メーカーの海外展開を後押しする狙いもあるが、血液製剤の市場自由化が進む影響を懸念する声もある。また「国内の患者を救うため」という献血の前提が変わることに対し、無償で協力している提供者への説明も求められそうだ。

     血液製剤は国の輸出貿易管理令の対象品目で、国内医療での使用を優先するとして全地域への輸出が禁じられている。輸入はできるが、80年代にウイルスに汚染された輸入製剤で薬害エイズが起きた反省から、政府は国内自給を原則に掲げる。

     国内で献血で採取された血液を扱っているのは日本赤十字社だけで、日赤から血液を購入した国内3社が特定の成分を抽出した複数の「血漿(けっしょう)分画製剤」を製造している。このうち、やけどや肝硬変治療に使うアルブミン製剤は自給率56%にとどまるが、血友病患者用の凝固製剤の一部は94年以降、自給率100%に達し、余剰分は廃棄している。

     余剰分が輸出できれば、少子化で需要が減りつつある国内市場に代わる新たな収益源になるとの期待がある。また、外資系メーカーも国内外の在庫調整がしやすくなる利点があり、国に規制緩和を要望している。

     国内3社はいずれも輸出に向けた具体的な検討は始めておらず、うち1社の一般社団法人・日本血液製剤機構は、厚労省のヒアリングに「人道支援を目的に無償や低価格で輸出することは差し支えない」と答えている。

     

     国内で製造される血液製剤の一部の輸出が解禁される見通しになった。輸出できるのはあくまで消費されない余剰分で、少子化による提供者減少で、将来的な不足が叫ばれる輸血用の血液が海外に流出するわけではない。とはいえ、献血が国民の善意で成り立つ以上、国は提供者の理解が得られるよう丁寧な説明を重ねる必要がある。

     血液から血液製剤を作る工程は、原油からガスやガソリンなどの異なる製品ができる構造に例えられる。需要の高い製剤を作ると、必然的に不要な製剤もできる。その分を輸出解禁すれば、善意を無駄にせず海外の医療に役立てられる。

     その一方で、薬害エイズ被害者の大平勝美・はばたき福祉事業団理事長は「限定的とはいえ、世界市場での競争に国内メーカーをさらすことで国内の安定供給が脅かされる」と危惧する。今でも一部の血液製剤は、国の国内自足方針にもかかわらず輸入に頼っている。流通経路が複雑化すると、安全性の確保もそれだけ難しくなる。

     もし自由化が進み、輸血用の血液製剤なども輸出されるようになれば「献血の商業利用」との批判も高まることも予想され、適切な医療を受けられない発展途上国への無償譲渡に限るなど、安易に対象を拡大させない一定の歯止めが必要となるだろう。

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