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長崎市で病院やクリニックを運営する社会医療法人春回会は、医師や看護師と患者らとのやりとりを人工知能(AI)がリアルタイムで文字に起こし、電子カルテを自動作成するシステム「SwiftSOAP(スウィフトソープ)」を県内で初めて導入した。書類作成の手間を減らし、手書きでは漏れていた情報の蓄積も進めることで医療サービスの向上につなげる。
同システムは東京のスタートアップ企業「パルシベイト」が開発した定額制サービス(1ユーザー月額1万6500円)。全国の医療機関で導入が進んでおり、春回会は5月から診察や訪問診療、患者家族との面談などで試用を重ね、9月から緩和ケアや在宅医療部門で本格運用を開始した。
春回会は高齢化に伴う医療・介護需要の拡大を見据え、昨年3月に「DX推進室」を設置。同室長を務める井上聡理事長補佐は「現場では記録などの『仕事のための仕事』に多くの時間が割かれている」と指摘し、入力作業の削減で患者と向き合う余裕が生まれることにも期待する。 同会は、井上病院(長崎市)や出島病院(同)、長崎北病院(西彼時津町)などを運営。県内有数規模の医療グループで900人以上のスタッフを抱える。各部門や担当者だけが持っている情報の共有も課題だ。「自動作成は専門用語を正確に反映できる点が魅力的。有効活用することでこれまで共有できてこなかった貴重な情報を残せることの意義は大きい。人からAIへタスクを移し、チーム全体の力を発揮したい」と井上理事長補佐。
パルシベイトは代理店の松本(長崎市)などと提携し、地域医療での活用を推進する。パルシベイトの辻和久社長は「入力業務から支援を始めるが、集まったデータを経営分析や業務の効率化に生かすこともサポートしていきたい」。松本の松本博社長は「個人医院でも導入が進めば、高齢医師の現役継続などにつなげられる」と期待する。