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日本小児科学会新生児委員会は9月24日、新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症(VKDB)の予防法と症例に関する全国調査の結果を発表。哺乳確立時から生後3カ月まで週1回、計13回経口でビタミンK製剤を投与する「経口13回法」の普及後、遅発型VKDBの推計発症頻度は前回調査の出生10万当たり0.9から0.2に低下したという。
VKDBは頭蓋内出血を合併すると生命および神経学的予後が不良となるが、適切なビタミンK補充により予防が可能である。日本では2021年、日本小児科学会など16の関連学会・団体が、哺乳確立時から生後3カ月まで週1回経口投与する経口13回法などを提言した。(関連記事「ビタミンK欠乏性出血の予防、投与法が確定」) しかし、同法の普及後の疫学的評価は十分に行われていなかった。そこで同学会は新生児委員会の下に「新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症の調査研究のための小委員会」を設置し、経口13回法が定着した状況下でのVKDBの発症状況と診療上の課題を検討した。
調査は全国の小児・周産期医療施設2,343施設を対象に実施。一次調査には964施設(回答率41.1%)が回答し、このうちビタミンK補充療法を実施していた721施設の予防法を解析した。また、2022年1月~24年12月に発症したVKDB症例を対象に二次調査を行い、12例の詳細な臨床情報を収集した。
一次調査では、721施設中641施設(88.9%)が栄養法にかかわらず経口13回法を採用していた。母乳栄養児のみに経口13回法を実施している施設は57施設(7.9%)、従来の経口3回法(哺乳確立時、退院時、1カ月健診時の計3回投与)を採用している施設は23施設(3.2%)だった。
一次調査に回答した964施設のうち、ビタミンK補充に関する課題として「飲み忘れ」を挙げたのは367施設(38.1%)、「嘔吐」は289施設(30.0%)だった。養育者が意図的に経口投与を控える「Parental Refusal」を経験した施設も78施設(8.1%)あった。
二次調査で報告された12例中7例は日齢1以内に発症した早期型、3例は日齢2~7に発症した古典型だった。日齢8以降に発症した遅発型は2例で、うち1例はアラジール症候群(胆汁うっ滞性肝疾患)を合併していた。いずれの症例も経口13回法が実施または予定されており、意図的な経口差し控え例は含まれなかった。
病変部位は大半が消化管出血で、頭蓋内出血例は報告されなかった。腹腔内出血の1例で新鮮凍結血漿の投与が行われたが、人工呼吸管理や開頭術、肝移植などを要した例はいなかった。全12例で神経学的後遺症や死亡例は認められなかった。
同小委員会は、調査期間中に確認された遅発型VKDBの報告数と施設回収率、出生数を基に発症頻度を推計した(二次調査の12例は全病型の合計で、推計の対象は遅発型のみ)。その結果、出生10万当たりの推計発症数は、第6回全国調査(2015~17年)の0.9から今回は0.2へと低下した。この結果について同小委員会は、経口13回法の普及が遅発型VKDBの抑制に寄与している可能性を示す所見と評価している。
一方、経口13回法の全国的な標準化に向けた課題も浮き彫りとなった。自由記載では、導入の障壁として同法が保険適用外であることによる費用負担が指摘された。また、退院後は養育者による継続投与が必要なため、服薬アドヒアランスの確認や啓発の継続も重要とされた。
同小委員会は調査の限界として、回答率が41.1%と低かったことを挙げた。その上で、「VKDB予防における経口13回法の有効性と安全性をより正確に評価するには、継続的な疫学調査と診療情報の蓄積が必要だ」と述べている。
結果の詳細は、日本小児科学会雑誌(2026; 130: 1263-1270)に掲載されている。
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