専門医の医師の求人/募集/転職 > スペシャルインタビュー >平山 晃康 氏 / 日本大学教授、日本大学松戸歯学部付属病院副病院長、顎脳機能センター副センター長
幼少時の思い、そのままに。
誠意と熱意で様々な分野に従事。
平山 晃康 氏
日本大学教授、日本大学松戸歯学部付属病院副病院長
顎脳機能センター副センター長
「口腔一単位」の治療方針
口腔の病気は、様々な全身の病気の表れや、逆に口腔の病気が他に悪い影響を与えることもある。1本の歯を治すことにとどまらず、口腔の健康を通じ、全身の健康を考えるメディコデンタル(医学的歯学)理念に基づいた、総合的な診断と治療で知られる日本大学松戸歯学部付属病院。日本大学教授であり、同病院副病院長である平山晃康氏に話を聞く。
「私たちの『顎脳機能センター』は、口の機能と脳の機能を密接に診ようという考えの下、立ち上げて5年になります。目、鼻、耳、口、顔の各部位は密接に繋がっていて、例えば、口の痛みの原因が実は別のところにあったとか、歯が悪くなってくると肩こりや首の痛み、さらには頭痛や顔面の痛みにも関係してくる事がある。口の中の健康は全身と深い繋がりがあるのです。日本では医科と歯科が分かれていますけど、『口腔一単位』と言って、歯科も医科の一つであるべきなのです。分けてしまうのは好ましくありません」
平成18年の新病棟完成に伴って開設された、センターの臨床部門「口・顔・頭の痛み外来」では、歯科をはじめ、内科、脳神経外科、頭頸部外科(耳鼻咽喉科)が一緒になって、歯、口を含めた頭部、顔面すべての慢性の痛みに対する総合的な診断と治療を行う。広い診療スペースには各科のユニットがズラリと並び、対応領域の広さが見て取れる。
「関連各科の医師と歯科医師がチームを組んで治療します。一箇所で集中して治療することで、迅速な対応とより正確な治療が可能となりますし、患者さんが複数の医療機関を回ることなく、治療に専念することができます」
医師と歯科医師の連繋プレーによって患者さんの動線を最短にし、患者さんにとっての最大利益に繋げようという診療システム。これなら診療が遠回りとならず、患者さんには最も喜ばれるはずだ。
「文武両道」の学生生活から脳外科医の道へ
幼少時に怪我や病気が多かったことがあり、医療を身近に感じていた。将来困っている人を助けたいと思う一心から、小学5年生の時には自身の将来像を描く。理解ある父親の後押しを受けながら、医学の道へと邁進する。当時を振り返る顔から自然と笑みがこぼれる。
「父親は呉服屋を営んでいたんですが、子供には本人の望む教育を施したいと考えていたようです。今では笑い話ですけど、周囲の方からは呉服屋の子供は呉服屋を継げばよいのにと、よく言われていたそうです」
高校、大学とサッカー部に所属しながら勉学に励む毎日。国体の代表選手にも選ばれ、「文武両道」に長ける学生生活を送った。脳外科に決めたのは、医師になる3年くらい前だったという。
「頭、脳というのは人間の中枢であり、人を決めるところ。そういう神秘的な部分や頭の構造、痛みに興味があったんです。それで恩師の坪川孝志先生によるパーキンソン病の手術に立ち会った際、患者さんの手の震えがパッと止まるのを見て素晴らしいと思いました。それが大きな理由です」
カナダで学んだ知識を基に、総合的な脳外科医として活躍
1985年に日本大学大学院医学研究科を修了した後、恩師の推薦を受けて翌86年より
カナダ、トロント大学脳神経外科に勤務。痛みに関する研究をやっていたことから、
機能的脳外科のスペシャリスト、タスカー教授に師事する。
「脳外科の基本である機能的脳外科を学びました。脳の働きというのは、手足を動かす、
痛い、冷たいといった感覚を司っているところ。その部分の解剖とか機能を知らないと、
痛みを理解することはできない。脳の働きを知る上でのベースになるんですね。また
血管外科の大家であるロヒード教授から、脳動脈瘤などの脳血管疾患に対する血管外科
手術や、首の頸動脈内膜切除手術などを学びました。非常にいい経験をしたと思います」
帰国後、日本大学医学部付属板橋病院救急救命センター医長、駿河台日本大学病院脳神経外科科長などを歴任。機能的脳神経外科、脳血管疾患、神経外傷、臨床神経生理を専門とし、総合的な脳外科医として活躍する。
「カナダで学んだことはかなり範囲が広かったですね。痛みだけではなく臨床も含めて、いろんな分野に発展させていきました」
その知識と手腕は如何なく発揮され、難治性疼痛に対する運動領野刺激療法、脳血管疾患の領域におけるマイクロサージェリーおよび血管内手術、臨床神経生理部門における運動誘発電位、聴性脳幹誘発電位、神経外傷領域における脳低温療法や頚静脈球部酸素飽和度、その他、顔面外傷の治療や口腔内癌に対する超選択的抗がん剤動注療法など、数々の治療法の開発と臨床応用に携わっている。
「マイクロサージェリーの導入が昭和50年代、コイル塞栓術などの血管内治療は平成に入ってから普及されてきました。過渡期ということで、今はどちらかを専門にする人が多いですが、私の世代は両方やっていたんです。それで、特に動静脈奇形という脳血管の先天性奇形の手術や、塞栓術を専門にやっていました。生まれつきの絡まったような血管を取るんですが、手術が非常に難しいんです。このような症例を含め、板橋救急救命センターにあるSCU(脳卒中ケアユニット)を中心に集まる、多くの患者さんを診ています」
現在は若い後輩医師の指導に当たりながら、自身も臨床の場に立つ。毎週3回(火曜と木曜の午後及び水曜日)の手術日の他、SCUへのフォローも含め、数多くの患者さんを預かる重責を担う。
検診予防の大切さと、再生医療への取り組み
数多くの手術に立ち会いながらも、医者として患者さんの異常を見逃さないことが重要、検診予防の大切さを説く。
「一番大切なのは予防です。何らかの前兆が診られたら、発作が起きる前に治療を始めます。今は内科の薬が非常によくなり、病変が進行しない薬も開発されています。外来ではそういう薬の使い方や、食生活を含めた生活の指導を行っています」
クリッピング術やコイル塞栓術に見られる手術法の発展、そして予防薬の開発。医療技術の進歩は一定の成果を伴って普及されてきた。次代を見据え、先進技術の開発に更なる意欲を見せる。
「今、一番興味があるのは再生医療です。障害が出てしまった脳の再生です」
麻痺、半身不随、言語障害、認知症……困っている人を助けたい、今まで諦めていた患者さんを治すことができないか。医学の道へと邁進させた、幼少の頃の思いが顔に覗く。
「京都大学の山中伸弥先生が作られたiPS細胞(人工多能性幹細胞)や、脂肪幹細胞、骨髄幹細胞などの幹細胞をうまく使って治療できないかと考えています」
元来、人間の脳はしっかりしているもので、高齢でも刺激療法やリハビリテーション、そこに再生医療をうまく合わせることができれば、更によくなる可能性があると力説する。
「歩けなかった人が歩けるようになる、言葉が出なかった人が喋れるようになる、寝たきりの人であれば少なくとも車椅子に乗れるようになる。今後10年くらい取り組みたいのはそれですね」
誠意と熱意を忘れずに
診療に際しての姿勢や患者さんとの信頼関係を構築する上で、何か注意している事はあるのだろうか。これからの若い先生方へのメッセージをいただきたい。
「誠意と熱意ですね。板橋の救命センター立ち上げの際に、1ヶ月のうち25日病院に泊まったこともありました。年齢的に37、8歳の頃で一番動ける立場でしたけど、自分が疲れている時でも、患者さんに誠意を持って接し、普段と同様に一生懸命できるかどうかです。こちらもヘトヘトになりますけど、達成感は高いですからね。コミュニケーションはもちろん重要です。データだけの判断ではなく、患者さんの言う事をよく聞いて、見て、触って、話をする。それから初めて、CTやレントゲンのデータを照らし合わせないと判断を間違えます」
ここまでの話を伺うにつれ、氏が幼少時から培ってきた根底にある思い「困っている人を助けたい」という言葉が、その語り口から伝わってきた。言わずもがな、普段からの心がけと言ったところか。最後に「専門医」についてのお考えを伺う。
「まず医者として、全ての科の基本的な知識を平均的に知っておかなければならないということです。専門分野でなくても、患者さんの症状をある程度診ることができる、そして一番いい治療法を選ぶということですね。そのためにはもちろん知識と経験が必要ですが、トータルで診ることができなければ、患者さんの管理はできません。『ここは専門ではないからやり方が違う、だから専門医に任せる』というのでは、患者さんにとって親切ではないでしょう。専門分野の勉強だけでなく、一通りの知識と、ある程度の診断能力は持った方がいいということ。その上での専門医だと思います」
(取材・文:江崎龍太)
(2011年10月)
平山 晃康 氏(日本大学教授、日本大学松戸歯学部付属病院副病院長、顎脳機能センター副センター長)
プロフィール
- 1985年 日本大学大学院医学研究科(脳神経外科学専攻)修了、医学博士の学位取得
- 1986年 カナダ、トロント大学脳神経外科勤務(オンタリオ州医師免許取得)
- 1988年 日本脳神経外科学会専門医取得
- 1990年 日本大学医学部脳神経外科学教室医局長
- 1993年 日本大学医学部付属板橋病院救急救命センター医長、日本大学医学部付属板橋病院脳神経外科医長
- 1998年 駿河台日本大学病院脳神経外科科長
- 1999年 春日部市立病院脳神経外科部長
- 2000年 日本大学医学部付属板橋病院脳神経外科医長
- 2002年 駿河台日本大学病院脳神経外科科長
- 2003年 日本大学教授(松戸歯学部、医学部)、日本大学松戸歯学部付属病院脳神経外科科長
- 2005年 日本大学松戸歯学部付属病院顎脳機能センター副センター長、口・顔・頭の痛み外来責任者
- 2006年 日本大学松戸歯学部口腔科学研究所次長
- 2006年 International Journal of Oral-Medical Sciences(IJOMS),Editor in chief
- 2007年 日本大学松戸歯学部研究委員会副委員長
- 2008年 日本大学松戸歯学部図書館副館長
- 2009年 日本大学松戸歯学部付属病院副病院長
専門医
日本脳神経外科学会専門医、日本脳神経血管内治療学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本救急学会専門医、
日本頭痛学会専門医・指導医、日本顕微鏡歯科学会認定医および認定指導医、ACLS、BLSインストラクター、
PNLSディレクター、t-PA実施医、ボトックス実施医、身体障害者(肢体不自由、音声・言語障害(咀嚼障害含む))認定医

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平山 晃康 氏 (日本大学教授、日本大学松戸歯学部付属病院副病院長、顎脳機能センター副センター長)へのインタビューを掲載しています。
これまでの医師としてのご経験や、現在のお仕事、力を入れていらっしゃるお取り組みなどを、じっくりうかがいました。
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