専門医の医師の求人/募集/転職スペシャルインタビュー >関口 由紀 氏 / 医療法人LEADING GIRLS 女性医療クリニック・LUNAグループ 理事長

スペシャルインタビュー
関口由紀

泌尿器科医という
専門性を生かして女性医療を極める

関口 由紀 氏
医療法人LEADING GIRLS
女性医療クリニック・LUNAグループ 理事長

高齢化社会の女性のニーズを見込んで、泌尿器科を選択

泌尿器科を選んだのは、「女性医師は眼科や皮膚科に多い」という通例にならうことに抵抗感があったことが1つあります。また泌尿器科は医療の専門科の中でマイノリティで、ましてや女性の泌尿器科医はなおマイナーでしたが、一方で高齢化社会においては、中高年女性の尿漏れや性器脱など泌尿器に関するトラブルが増えてきて、それに伴い女性泌尿器科医のニーズが多数出てくることは予測がつきました。こうしたことから総合的に判断して、泌尿器科を専攻することにしたのです。

山形大学医学部を卒業後、横浜市立大学医学部泌尿器科の医局に入り、ローテーターを10年やりました。勤務医として多くの症例の解決に当たったのですが、たとえば排尿障害で導尿をどのタイミングで行うかといったことは必ずしも教科書どおりに実施すればよいのではなく、職人的なカンや技術が必要になります。この10年間で私は
泌尿器科医としての職人技を学び、専門医としてのベースを作りました。

医師は技術を求められる職人のような職種です。医師になりたての最初の4~5
年間は、医局に入るか指導医が2人以上いる比較的大規模な病院に勤めるかし
て、1つの専門科の基礎を学ぶ経験が大事だと思います。

また専門医制度について言えば、今まで学位で判断されていた医師の技術を実
践的な側面で認めたことにおいて、存在意義があるものではないでしょうか。
医師免許を取得しただけでは医師は何もできません。付加価値として同制度が
あっていいと感じています。

妊娠と同時に大学院進学。女性医療の開拓へ

泌尿器科医としてのキャリアを築く一方で、友人のネットワークを通じて女性医療に興味を持つようになりました。またアメリカやイギリスでは、1980年代から泌尿器科から女性を専門に診る女性泌尿器科が独立して単独の診療科になっていることを国際学会などで知り、自分も女性専門の泌尿器科領域について学びたいと考えて、横浜市立大学大学院医学部泌尿器病態学講座に入学。大学院在学中に、出入りしていた婦人科の先生とともに海外に勉強に行って、女性に多く見られる骨盤臓器脱と尿失禁の両手術を単一システムで行う手術法、TFS(Tissue Fixation System)の技術を習得しました。

実は大学院に入ったタイミングで子どもを授かったので、大学院の教授たちも比較的ゆっくりと学ばせてくれる環境を用意してくれたのです。そのお陰で、泌尿器科の学習と同時に、女性医療に必要な婦人科外来の様子を診るなどの自己研鑽を積むことができました。こうした経験を通じて、女性医療の全体像が見えてきたのです。

医師のキャリアアップは、一般病院や大学病院に勤めて昇進を目指すことと、開業するという道があります。私は10年間の勤務医生活を通じて、自分には病院勤務医より開業医が合っていると感じました。そこで泌尿器科医としてのキャリアと、大学院時代に学んだ女性医療の知識を生かせば、独自性のある女性医療を提供できるのではないかと考え、女性医療を提供するクリニックで働く道を模索することにしました。

泌尿器科を含む女性医療クリニックの開業

そんな折、友人の内科医から開業するので附属で女性クリニックを作って、そこのマネジャーをやらないかという打診を受けました。それで私は就職前に、一緒に働くスタッフとして女性内科医や産婦人科医、看護師を集めたのですが、次第に出資者の内科医と自分の女性医療に関する考え方の違いが明らかになって、マネジャーとしての就職話が破談になってしまいました。当然の流れとして、私が見つけたスタッフの就職も難しくなりました。

就職が破談になった話をすると、彼女たちは「3カ月間待つから、あなたが
開業してはどうか」と提案してくれました。急な話でしたがスタッフの後押
しもあったので、私はみずからが女性医療クリニックを開業する決意をしま
した。

女性専門のクリニックですから、開業場所は女性が多く行き交う立地を選ぶ
必要があります。そこで横浜のショッピング街である元町商店街の中で、
クリニック開業に適した場所を探しました。何とか良い場所を見つけて、
スタッフとの約束どおり3カ月後の2005年4月に「女性医療クリニックLUNA」
の開業にこぎつけました。彼女たちは今も当院のコアメンバーです。

今後はB to CだけでなくB to Bを狙いたい

関口由紀

女性医療クリニックLUNAは、ビルの1フロアを3つに仕切り、内科、産婦人科、泌尿器科の診療体制でスタートしました。開業時に私が以前勤めていた病院から泌尿器科の患者さんを300人ほど引き継いだので、来院患者は少なくなかったですね。

当院では泌尿器科の領域である骨盤底トレーニングセンターを作り、日帰りでできるTFS手術を提供するなど、独自のサービスを提供しています。それに加えて口コミや当院のホームページ、雑誌やテレビなど各種メディアに露出することで患者数を伸ばしていくことができました。開業医を続けるうちに理事長、つまり経営者としての欲が出てきて、診療フロアを2つ、3つと広げていきました。

今後は自分でホームページを管理して、女性の泌尿器に関するあらゆる疾患に応えていきたいと考えています。ウェブショップで失禁防止用下着などを販売し、患者さんに対してだけでなく、女性専門の泌尿器科を充実させたいと考える同業者の医師も訪れるホームページを作りたいのです。つまり会社から顧客へのサービスであるB to C(Business to Consumer)だけでなく、会社対会社の取り引きであるB to B(Business to Business)にも取り組みます。これからも世界標準の女性医療の実践を目指し、開業医としての可能性を広げていきたいと思っています。

(聞き手・深山 沙衣子)


関口 由紀 氏(医療法人LEADING GIRLS 女性医療クリニック・LUNAグループ 理事長)

プロフィール

  • 1989年 山形大学医学部卒業。横浜市民病院臨床研修医を経て、
  • 1991年 横浜市立大学医学部泌尿器科助手。
         その後横浜南共済病院、横浜市立港湾病院、横浜市立市民総合医療センター勤務を経て、
  • 2007年 横浜市立大学大学院医学部泌尿器病態学修了、客員准教授となる。
  • 2009年 日本大学大学院グローバルビジネス研究科(MBA)修了
         現在、横浜市立大学医学部付属病院で、女性泌尿器科外来を担当。
  • 漢方に関しては、1994年より漢方の大家、丁宗鉄先生に師事し研鑽を行う。
  • 2000年4月 日本東洋医学会専門医取得。
  • 2004年4月 日本東洋医学会指導医認定。
  • 2005年4月 横浜元町女性医療クリニック・LUNAを開設。
  • 2007年3月 医療法人 LEADING GIRLSとして、新たなる出発。
  • 2008年6月 婦人科を分院し、女性医療クリニックLUNA・ANNEXを開設。
  • 2009年5月 骨盤底トレーニングンターとして、併設していたLUNA治療院を拡大。
インタビュー

新着スペシャルインタビュー

上下関係なく、医師全員でディスカッションできるチーム医療を目指して
佐野 倫生氏 創立150周年以上、多くの街の人々から信頼される静岡市の中核病院『静岡市立静岡病院』。 その静岡市立静岡病院に長年勤務し、現在、整形外科の診療部長も務めている佐野倫生先生に、これまでの経歴や医療への向き合い方など、若手医師の参考になるお話を伺った。(本文につづく)

佐野 倫生 氏/浜松医科大学 整形外科 臨床教授

最期はご自宅で過ごすのが普通である街をつくりたい
壁谷 悠介氏 各分野で活躍されている医師を訪ねるスペシャルインタビュー。第37回は糖尿病専門医・指導医、総合内科専門医として、そうわクリニックを運営する壁谷悠介氏です。(以下、本文より)「在宅医療をやってみたいという気持ちがある先生、人が好きな先生、人と人との繋がりを大事にしてくれる先生は大歓迎です。医療の知識や技術は、働いてからでも学べますが、やはりマインドは変えられませんからね。「あの先生が来てくれるなら、楽しみだ」となるとお互いに楽しいですからね。(本文につづく)

壁谷 悠介 氏/そうわクリニック院長

20年間で100の分院開業を目指して
佐藤 理仁氏 各分野で活躍されている医師を訪ねるスペシャルインタビュー。第36回はリウマチ専門医として、さとう埼玉リウマチクリニックを運営する院長・佐藤理仁氏です。(以下、本文より)もっと外来でリウマチ患者さんに貢献するためには、クリニックがベストと思いはじめました。患者さんは、リウマチ専門のドクターが地域にいなくて困っている。一方ドクターはもっとリウマチ診療がしたいと思っている。お互い探しているのにマッチしていないんですよ。僕はサポートにまわり、良い先生を沢山お招きして活躍できる環境を作る仕事をしたほうが、より多くのリウマチ患者さんのためになると思ったんです(本文につづく)

佐藤 理仁 氏/さとう埼玉リウマチクリニック院長

娘に憧れてもらえるような医師人生を送りたい
小林 奈々氏 各分野で活躍されている医師を訪ねるスペシャルインタビュー。第35回は外科専門医として、自由が丘メディカルプラザ 副院長の小林奈々氏です。(以下、本文より)何人かの患者さんに「先生がいてくれて良かった」と言われたことがあるんです。当時、外科は女性が少ないので紅一点でした。苦しいし、大変だし、叱られるし、私は、何でここにいるんだろうなと思う時もあるんです。でも、そういった患者さんの一言で自分の存在意義を感じます。(本文につづく)

小林 奈々 氏/医療法人めぐみ会 自由が丘メディカルプラザ副院長

多くの方の患者さん家庭医を目指して
小川 奈津希氏 各分野で活躍されている医師を訪ねるスペシャルインタビュー。第33回は産婦人科専門医として、ジェネラルクリニックを運営される院長・小川奈津希氏です。医師として女性の悩みに取り組み、エイジングケア、美容メニューなどにも力を入れる氏に自身の働き方や、メッセージを伺った。(本文へ)

小川 奈津希 氏/ジェネラルクリニック院長

興味があるなら年齢は関係ない、いつだって挑戦すべき
久保田 明子氏 各分野で活躍されている医師を訪ねるスペシャルインタビュー。第32回は眼科専門医として、アイクリニック自由が丘・院長である久保田明子氏です。(以下本文より)私の場合、子どもがいるから頑張れるし、また仕事を頑張っているからこそ帰宅して子どもの顔を見るのがよりうれしく感じるんだと思います。学校のない日は院内で過ごさせることもあり、私が働く父の姿を見ていたように、私の姿を見て何か感じてくれていると信じています。(本文へ)

久保田 明子 氏/アイクリニック自由が丘

遠隔画像診断サービスの地位向上を目指して
煎本 正博氏 各分野で活躍されている医師を訪ねるスペシャルインタビュー。第31回は放射線診断専門医として、遠隔画像診断サービスを専門に行うイリモトメディカルを経営する煎本正博氏です。(以下、本文より)くだんのお役人からもお褒めをいただいたのですが、それよりも、読影をお引き受けした開業医の先生から“先生がいてくれるので、自信を持って診療できるようになった”という言葉をいただいたことは本当に嬉しく、自信にもなりました。(本文へ)

煎本 正博 氏/株式会社イリモトメディカル

“志”を持った仲間を求む!実直な医師が挑む、消化器病センターの再構築
吉田正史氏 各分野で活躍されている医師を訪ねるスペシャルインタビュー。第29回は公益財団法人 東京都保健医療公社 豊島病院 眼科医長の武田淳史氏です。(以下、本文より)地域密着型で中小病院の新しいモデルになるべく活動を進める、社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス 東埼玉総合病院にて、消化器病センターの再構築に向けて奮闘する、消化器内科科長・内視鏡室室長の吉田正史先生にお話を伺う。(本文につづく)

吉田 正史 氏/東埼玉総合病院 消化器内科科長・内視鏡室室長

チャンスがあるなら、積極的に外へ出て学ぶべき
武田淳史氏 各分野で活躍されている医師を訪ねるスペシャルインタビュー。第28回は公益財団法人 東京都保健医療公社 豊島病院 眼科医長の武田淳史氏です。(以下、本文より)やはり医者といっても人間ですし、結婚し家庭を持つなど生活環境の変化に伴い、なかなか自分の思い通りのタイミングで自身の望む経験を積むことは難しくなってきます。例えば地方でも、海外でもいいですが、少しでもチャンスがあるなら、若いうちに外へ出て行くべきだと思います。チャンスは逃さない方がいいですね。(本文につづく)

武田 淳史 氏/公益財団法人 東京都保健医療公社 豊島病院 眼科医長

過去のインタビューはこちら

専門医資格を最大限に生かした転職なら専門医局 専門医資格を最大限に生かした転職なら専門医局

専門医資格を最大限に生かした転職なら専門医局

関口 由紀 氏 (医療法人LEADING GIRLS 女性医療クリニック・LUNAグループ 理事長)へのインタビューを掲載しています。
これまでの医師としてのご経験や、現在のお仕事、力を入れていらっしゃるお取り組みなどを、じっくりうかがいました。
その他の専門医としてご活躍の先生方のインタビューも一覧よりご覧ください。

専門医資格を最大限に生かした転職なら専門医局

専門医転職事例
産科婦人科 女性医師50歳 産科婦人科 女性医師50歳
紹介会社を利用することは初めてでした。それで、...
整形外科専門医 男性(40代) 整形外科専門医 男性(40代)
部長待遇で迎えてくれましたので、期待に応えたい...
小児科専門医 女性 35歳 小児科専門医 女性 35歳
自宅から歩いて通え、保育施設があり社員の育児に...
婦人科(不妊治療専門) 35歳 女性 婦人科(不妊治療専門) 35歳 女性
自分が感じていたより現場(患者の思い)は厳しく...

その他の転職事例はこちら

専門医のFacebook 医療機関の方々へご案内

SSL
個人情報を扱うページではSSL通信で
安全性を確保しています。

ページトップへ